数学王ガウスの真髄とは

私は10〜20代の一時期、本気で数学者になろうと思ってました。当時、家庭・地域の貧しい環境下(歴史だけは由緒あるが…)で、頭一本で勝負できる数学と言う世界にとても惹かれていたのです。今となっては赤面噴飯ものですが…💦(しかし10代の頃などは自分の数学的能力があるかどうかは、一生懸命トライすることでしかわからないと思います。それに、言い訳がましくなりますが、若い頃は特に頭が柔軟で柔らかいので、若いうちに数学的な考え方を身に付けられたのはよかったと思っています)

リーマン論文集やラマヌジャン書簡集も所持し、日夜解読に精を出しましたが雑誌「大学への数学」の学コンにも歯が立たない私の力では分からないのが当たり前なんです。しかしその深奥には少しだけ触れられたかな?と思うのは事実です。目も眩まんばかりのめくるめく数式変形などは飛ばし読みし(もう、天才がそのような式変形をしたのだからそれは事実だと認め、確認する必要性を感じなかった)いわゆる文脈というか、「この事実がこの事実とこうつながっている」的な読み方をしていました。だから私の学問はまったくの素人学問である事は疑いのない事実です。第一、知識が体系立っていません。

 

さて今回の本題は、ガウスについての書籍の比較的新しいものの紹介の引用です。

高瀬正仁九大教授の御著書もガウスについてとても詳しく良い本です。

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今回紹介させていただく本は

ガウスの数論世界をゆく」(栗原・桂 :  著)

という勇ましい書名の良い本です!

 

◯以下引用略

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ガウスの数論世界とは「相互法則の世界」とも言えるが、本書では有限体Fpの乗法群Fp*で定義される「ガウス周期」に注目し、ガウスの相互法則研究に及ぼした影響が詳しく考察されている。2次と4次の「ガウス周期の基本定理」を紹介し、それが2次と4次の相互法則の証明にどの様に関わるかを詳述している所に、他書には見られない本書のユニークで大きな特徴がある。本書ではイデアルやアーベル拡大など現代的な概念の導入を意識的に避け、ガウスの時代の初等的な議論の積み重ねを主体として、高校数学を修めた知識レベルの方でも大きな困難なく読み進められるように叙述されている。

本書は六つの章からなる。最初の二つの章は本論への準備であり、多くの例を含めて非常に丁寧に書かれている。奇素数pに対し、乗法群Fp*は位数(p-1)の巡回群であり、その生成元(gで表す)が原始根と呼ばれること。また、偶数である(p-1)を積d*eで表すと、d乗剰余がなす集合(Hdと記す)は、その冪指数がdの倍数となるgの冪乗数からなる位数eの集合であり、その他の剰余類はHdにgの冪を掛けた、g(Hd)、g2(Hd)、・・・、g(d-1)(Hd)からなること(従って、剰余類を縦に並べると、Fp*の元はd行e列の長方形に配置できる)。これらの事実が非常に基本的で重要であることを初学者の方でも理解できるだろう。

第3章ではガウス周期(【a】d、dは下付きの添字)が定義され、その積公式が証明されている。「d次のガウス周期」の定義は簡単で、1の原始p乗根ζに対し剰余類a(Hd)に属する各数をζの肩に乗せてそれらの総和を取ったものが【a】dである(ガウスはこれを(e,a)で表し、e項周期と呼んでいることに注意)。ここでは、ガウス周期はaが属する剰余類で決まり全体でd個あること、ガウス周期の積公式を理解し具体的に計算できるようになること、の二点が特に重要である。

第4章「2次のガウス周期」と第5章「4次のガウス周期」が本書の主題であり、最も興味深く面白い所である。ここでd=2の2次の場合とd=4の4次の場合の「ガウス周期の基本定理」が証明され、それらを用いてその次数の「相互法則」が証明されているが、それらにアナロジーが見出せることが明記されており素晴らしい。例えば、ガウス周期の基本定理では、二つのガウス周期の積の計算が核心部であるが、積公式を用いてそれをd個のガウス周期の線形結合で表す時の係数に、ガウスが「4次剰余の理論 第1論文」で求めたあるd次曲線のFp有理点の総数n(i,j)が現れ、(より易しい)d=2の場合でも同様の論理と計算が可能であることが示されており感心させられる。4次のガウス周期の基本定理を基に、4次剰余相互法則に向けての発見的な考察を行い、詳しい証明を与えている所がユニークで素晴らしい。平方剰余相互法則のガウスの第7証明の主役が「ガウス周期」であること、4次のガウス周期の基本定理を基に4次剰余相互法則を(アイゼンシュタインによる良く知られた証明と本質的に同様に)証明できること、の二点を本書で初めて教えられた。

最終第6章も面白い。前の二つの章の叙述から、ガウスが曲線や曲面の有理点の数を巧妙に求めていることが分かるが、ここではある射影4次曲線の有理点の個数の計算に上記のn(i,j)が巧みに使われ、その応用として『ガウスの《数学日記》』の最終第146項目(1814年7月9日)に述べられた有理点の個数に関する主張が証明できることが示されている。これらの事を勘案すると、ガウスの「4次剰余の理論 第1論文」(1828年)の叙述内容のほぼ全てが1814年7月頃までに完成していたことが推察でき興味深い。

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個人的に夭折の愛弟子アイゼンシュタインに興味がありそこは比較的熱心に読みました。

あと、マーティン・ガードナーのこんなユーモアを思い出した。アーベル拡大をするグループの事をアーベリアン・グループというが、ある学者が間違えてアーベリアン・グレープ🍇と勘違いした。

(アーベル拡大とは可換が成り立つような種類の代数体)

 

乱筆すみません。ご精読ありがとうございました。